第二次世界大戦〈3〉 (河出文庫)
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ジャンル: | 歴史,日本史,西洋史,世界史
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名著ゆえに残念な翻訳水準
大英帝国の危機を救った名宰相、名指導者・チャーチルの『第二次世界大戦』は、非常な名著である。戦争は失敗の大博物館、と言った彼の姿勢、とりわけ全局を類まれな胆力で見通し、勝利を掴むための戦略を骨太に実行する姿は、企業経営者にとっても、きわめて示唆に富むものである。しかし、これほどの名著だけに、とくに、第3巻後半部分辺りの、驚くほど不自然な日本語(訳文)が残念でならない。およそ、教育を受けた日本人が書いたとは思えないほどのぎごちなさであって、首を傾げざるを得ない。真のチャーチル・ファンなら、辞書を片手にでも、原書にあたるべきかと思う次第である。
日本に対するチャーチルの見方
本巻ではいよいよ真珠湾攻撃によって日本が参戦し、イギリスと日本が戦火を交えることになる。勿論、真珠湾以前も両国は権益をめぐって対立していたわけだが、これまでの巻では日本に関する記述はごくわずかであり(とは言え、日本を深刻な脅威だと認識していた)、本巻でさえもヨーロッパ戦線を中心に記述している。第二次世界大戦といっても、チャーチルはメインはあくまでもヨーロッパだと認識していたことが分かる。
もっとも、イギリスはアジア戦線では日本に完敗しており、あまり書きたくなかったという心理も働いていたのではないか、と私は勘ぐっている。当時のイギリスの最強の戦艦であるプリンス・オブ・ウェールズが日本軍によって撃沈された報を受け、チャーチルは「すべての戦争を通じて、私はこれ以上直接的な衝撃を受けたことはなかった。」とまで述べている。
なお、真珠湾攻撃の報を受けた際、最終的な戦勝を確信して狂喜したとチャーチルは書いている。真珠湾攻撃によってアメリカが参戦したからである。これがどこまで真意で、どこまで後知恵で書かれたものなのか、興味深い。
政治家的思考と軍人的思考
前大戦を当事者が語ったという意味では、英宰相チャーチルと米軍人ウェデマイヤーの回想録が双璧である。米英が戦略上で最も対立したのは欧州における第二戦線をどこにするのかということだった。英国はバルカン半島に上陸し、東欧に進撃する案を主張したが、米国はフランスに上陸し、一挙にドイツを叩くという方針で両者は激突した。そしてスターリンは一貫して米側の支持者だった。米側は英国のバルカン上陸案を「弱腰」だと非難したが、結局チャーチルの深慮を見損なうことになった。チャーチルは、バルカン−東欧ルートを通し、東部戦線での戦果のソ連の独占による東欧の共産化を阻止しようとしたのであるが、ルーズベルトはじめ米側は戦後になって、はじめてチャーチルの戦略的思考の正しさを知ることになった。ほくそえんだのはクレムリンである。立場の違う英政治家と米軍人双方の回想録を読み合わせることによって、前大戦の全貌に対する複眼的な見方ができると思われる。
河出書房新社
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